sai kasumi
池袋線
所沢駅

毎日食べたい、野菜たっぷりの〈sai kasumiごはん〉。誰もがよろこぶやさしいごはんで、おなかも心もまんぷくに。

「所沢」駅からゆっくり歩いて15分ほど。静かな古民家で、一汁三菜の定食を提供する〈sai kasumiごはん〉。「誰もが食べられる、おうちのごはん」を作るのは、保育園で給食を作っていたというkasumiさん。所沢駅近くの古いアパートでお店をオープンしたのは2015年のこと。その後、川越へと移転し、2020年、ふたたび所沢の地へと帰ってきました。「おいしくて、体にいいもの」を作ってあげたい。そのシンプルで強い思いの原点には、給食を作っていたkasumi さんならではの、やさしさが詰まっていました。
100A1938

kasumi 西武線在住歴15年

東長崎エリアで長く暮らし、家族が増えてからは小金井市へお引越し。所沢と川越にあったお店には西武線に乗って通勤。

人のご縁をきっかけに、めぐりめぐって所沢の地へ。

sai kasumi

所沢駅の繁華街を抜けたその先に、マンションに囲まれた古民家がひっそりと現れます。〈柿ノ木ノ下〉と名づけられた築80年の平家の一軒家の一角にある〈sai kasumiごはん〉は、以前ご紹介した〈kieido〉の店主・寺内さんのお気に入りのお店でもあります。

2020年、あの〈sai kasumiごはん〉が所沢に戻ってくる!と、かつてのお店を知る人たちは大喜び。2015年にオープンして以来、変わらず一汁三菜のやさしいごはんを作り続けています。

お豆腐やお麩、野菜などを中心にした日々のごはんは、ヘルシーなのにボリューム満点。しっかり食べたい人でも、おなかがいっぱいになるはずです。化学調味料などは使わず、すべて手づくりにこだわっています。

「ごはんセット」1,200円(税込)。この日のメニューは、高野豆腐の味噌はさみフライをメインのおかずに、旬の野菜を使った小鉢、飯能にあるお寿司やさん直伝の厚焼き出汁巻き玉子、しょうゆ大豆とかんぴょうとしいたけの煮物がのったおにぎり2つ、具だくさんのおみそ汁つき。
「ごはんセット」1,200円(税込)。この日のメニューは、高野豆腐の味噌はさみフライをメインのおかずに、旬の野菜を使った小鉢、飯能にあるお寿司やさん直伝の厚焼き出汁巻き玉子、しょうゆ大豆とかんぴょうとしいたけの煮物がのったおにぎり2つ、具だくさんのおみそ汁つき。

もともと、保育園で給食を作っていたという店主のkasumiさん。いつかの夢は、飲食店ではなく、意外なものでした。

「かけたり、和えたりするだけで手軽に一品料理が完成する“合わせ調味料”みたいなソースをいつか販売してみたいなと思っていたんです。保育園で働いている時、お母さんたちが忙しすぎるなと思って。和えるだけ、かけるだけでおいしく食べられるソースがあれば便利だし、きっと多くの人に喜んでもらえるんじゃないかという思いがありました」

しかし、思ってもみなかったごはんやさんをやることになったのは、たまたま遊びに行った雑貨店の2階が空いているという話を聞いたことがきっかけでした。
「でも、なかなか借りる決断がつかなくて。飲食店をやったこともなかったですし、果たしてお客さまは来てくれるのだろうか、ほんとうにお店をやりたいのかとずっと悩んでいて。保育園を辞めた後はスーパーでお惣菜を作ったりしながら、1年ほど悶々としていました」

野菜を中心とした、自分らしいごはんを出せるようになるまで。

完熟したオーガニックバナナをたっぷりと練りこんだバナナケーキ。バナナの甘みがたまらないおいしさ。コーヒーは入間市にある〈tango〉のもの。
完熟したオーガニックバナナをたっぷりと練りこんだバナナケーキ。バナナの甘みがたまらないおいしさ。コーヒーは入間市にある〈tango〉のもの。

いよいよ大家さんから焚きつけられ、物件を借りる決心をしたkasumiさん。当時から変わらず、一汁三菜のおうちごはんを提供してきました。

「だれが来ても、食べられるごはんがいいなと思ったんです。子どもでも、おじいちゃんでもおばあちゃんでも、みんなが食べられる、いつもの私のごはんを出せるお店にしたいなって。川越に移転してからは、肉と魚をほぼ使わなくなりました。豆腐やお麩とかを使ったおかずをメインにするようになって。ごはんもお茶碗盛りにしていたのをおにぎりにして。そうやってだんだんと、いまの〈sai kasumiごはん〉ができていったんです」

川越での3年間は「修行でした」とkasumiさん。肉や魚を使わないで、どういうメニューが作れるか、今までとは違う工夫が必要でした。

「豆腐やお麩を使うことで食感もやわらかくなるから、食べやすくなりますよね。あとは、とにかく胃が疲れないようにと考えました。でも、いっぱい食べたい気持ちはあるからボリュームはなくしたくない。揚げ物にしてみたりと、調理法を工夫しています」

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川越で丸3年営業した後、建て壊しが決まり、またもや引っ越さなくてはならないと考えていた時、いまの〈柿ノ木ノ下〉のオーナーが食べに来てくれました。「人が来る場所にしたいから飲食店をやろうとしている」という話を聞いて、立候補。ふたたび、所沢に戻ってくることになりました。

「転々としてきましたが、〈sai kasumiごはん〉としては7年目で、自分らしさがだんだんとできてきたかな。所沢の頃のお客さまが川越に食べに来てくれたり、今度は川越の方が所沢まで食べに来てくれたり。週2回食べに来てくれるお客さまもいるんですよ。どのお店も、人とのめぐり合わせがきっかけでお店を開くことができましたし、お店に来てくれる人も長く通ってくれる方がとても多くて。みなさんのおかげで〈sai〉は成り立っています」

店名の由来は、所沢でお店を出す際、同じアパートの他のお店の頭文字が「s」からはじまっていたことから、野菜の「菜」、埼玉の「埼」で「sai」に。
店名の由来は、所沢でお店を出す際、同じアパートの他のお店の頭文字が「s」からはじまっていたことから、野菜の「菜」、埼玉の「埼」で「sai」に。

人とのつながりから生まれる拠点。西武線に揺られながら街から街へ。

sai kasumi

〈sai kasumiごはん〉を求めて、たくさんの人が通ってしまうのはなぜなんでしょう。その秘密は「ありそうで、どこにもないごはん」だからなのかもしれません。

「家庭料理を出しているお店が少ないからだと思います。家族に作るみたいなごはんなんです。調味料も食材もこれならば食べてほしいなと思えるものを選んでいます。 “給食のおばさん”に近いのかもしれないですね。保育園で働いていた時『この子たちのためにおいしく作ってあげないと!』って思いながら作っていました。そんな感覚なんです」

sai kasumi

所沢に戻ってからは、お弁当も始めました。夕飯用にとお弁当を買ってくれる人や、おそうざいだけを家族の人数分買っていく人も。そうやって、お客さまのニーズに合わせて柔軟に対応しているのだそう。

「お店を閉めたあと、仲良しのお客さまと一緒に〈sai〉のおべんとうを持って所沢航空記念公園でピクニックしたりもしたんですよ。季節がいいと最高なんです」

毎年11月には、所沢航空記念公園で開催されている「暮らすトコロマーケット」に〈sai kasumiごはん〉として出店しているのだそう。かつて、所沢にあった『三八の市』の現代版としてはじまったマーケットなんだとか。

「所沢ってすごくおもしろい街だと思います。たくさんマンションが建っていてすごく近代的かと思えば、農家さんも住んでいて畑もありますし。所沢はチェーン店が多いイメージなんですけど、『暮らすトコロマーケット』を主催するお店や出店しているのは個人店ですし、こうして街を盛り上げてくれる人たちがいる。それってなかなか簡単にできることではないから、その労力に感謝していますし、お店同士で行き来したりと交流もあって、本当にいいなって思うんです」

人と人のご縁があって、所沢の地に戻ってきたkasumiさん。個人店同士のつながりや、所沢だからこそ生まれた出会いに導かれて、きっとこれからも続いていくことでしょう。

野球が大好きだというkasumiさん。西武球場にも足繁く通っていました。「1名にしか当たらない、ライオンズプリントの冷蔵庫が当たったんです!」とうれしそうに教えてくれた冷蔵庫はお店のキッチンに。
野球が大好きだというkasumiさん。西武球場にも足繁く通っていました。「1名にしか当たらない、ライオンズプリントの冷蔵庫が当たったんです!」とうれしそうに教えてくれた冷蔵庫はお店のキッチンに。

今回ご紹介した〈sai kasumiごはん〉について

sai kasumi

2024年1月閉店。2024年3月現在、移転準備中。
https://www.instagram.com/sai.kasumi.gohan/
※2024/2/28時点の情報

(photo:Kaori Ouchi, text:Kayo Yabushita)

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私房景点分享

陶芸家であり、農家でもある町田裕也さんによるショップ。採れたての野菜や切り花が色とりどりに並び、町田さんが作陶した器も一緒に飾られています。kasumiさんもミルクピッチャーを愛用中で、お店でも使っているのだとか。
〈colere(コレレ)〉
陶芸家であり、農家でもある町田裕也さんによるショップ。採れたての野菜や切り花が色とりどりに並び、町田さんが作陶した器も一緒に飾られています。kasumiさんもミルクピッチャーを愛用中で、お店でも使っているのだとか。
隣の工房で陶器づくりを行いながら、江戸時代から続く農家〈オケヤファーム〉の12代目でもある町田さん。淡い色あいでどんな食卓にもなじむ器、そして作物、どちらも土から生まれるもの。「半農半陶」の暮らしを実践されています。
〈colere(コレレ)〉
隣の工房で陶器づくりを行いながら、江戸時代から続く農家〈オケヤファーム〉の12代目でもある町田さん。淡い色あいでどんな食卓にもなじむ器、そして作物、どちらも土から生まれるもの。「半農半陶」の暮らしを実践されています。
金曜、土曜のみ営業。駐車場も完備。■住所:埼玉県所沢市中富1141 ■電話:なし ■営業時間:10:30~16:00(金曜、土曜のみ営業) ■定休日:日曜〜木曜、不定休あり https://www.instagram.com/colereshop/
〈colere(コレレ)〉
金曜、土曜のみ営業。駐車場も完備。■住所:埼玉県所沢市中富1141 ■電話:なし ■営業時間:10:30~16:00(金曜、土曜のみ営業) ■定休日:日曜〜木曜、不定休あり https://www.instagram.com/colereshop/
所沢にオープンして16年。所沢プロペ商店街から一本入った静かな通りにある二軒長屋の広々とした店内。オーナー古市裕介さんによるセレクトで、国内外のアイテムが所狭しと並ぶ。所沢を代表する、唯一無二のセレクトショップ。
〈NARO CLOTHING〉
所沢にオープンして16年。所沢プロペ商店街から一本入った静かな通りにある二軒長屋の広々とした店内。オーナー古市裕介さんによるセレクトで、国内外のアイテムが所狭しと並ぶ。所沢を代表する、唯一無二のセレクトショップ。
デニムやスウェット、Tシャツなど大人のカジュアルウェアが豊富にそろう。メンズライクなアイテムを中心にユニセックスなサイズ展開やバッグやアクセサリーなどの小物も充実しているので、男女問わずショッピングが楽しめる。
〈NARO CLOTHING〉
デニムやスウェット、Tシャツなど大人のカジュアルウェアが豊富にそろう。メンズライクなアイテムを中心にユニセックスなサイズ展開やバッグやアクセサリーなどの小物も充実しているので、男女問わずショッピングが楽しめる。
所沢にある実店舗のほか、オンラインショップからも購入可。■住所:埼玉県所沢市日吉町4-17 ■電話:04-2928-9922 ■営業時間:11:00〜18:00 ■定休日:火曜、水曜https://www.instagram.com/naroclothing/※来店前にInstagramをご確認ください
〈NARO CLOTHING〉
所沢にある実店舗のほか、オンラインショップからも購入可。■住所:埼玉県所沢市日吉町4-17 ■電話:04-2928-9922 ■営業時間:11:00〜18:00 ■定休日:火曜、水曜https://www.instagram.com/naroclothing/※来店前にInstagramをご確認ください
店内にはだしのいい香りが充満。化学調味料は一切使用せず、丁寧に作られた肴はどれも体にやさしく旨みたっぷり。かしわうどん830円は、おだしのおいしさを味わえる一品。ヘルシーな無化調ラーメンも、飲んだ後の〆にぜひ。
〈酒と肴と晩ご飯 なか屋〉
店内にはだしのいい香りが充満。化学調味料は一切使用せず、丁寧に作られた肴はどれも体にやさしく旨みたっぷり。かしわうどん830円は、おだしのおいしさを味わえる一品。ヘルシーな無化調ラーメンも、飲んだ後の〆にぜひ。
kasumiさんのお気に入りは、甘辛く炊いた「きつね」330円、やわらかい「身欠きにしん」550円。お通し330円は、たっぷりのおだしを吸い込んだ厚揚げとがんも。どの料理にも日本酒が抜群に合う。3種飲み比べ1,200円(すべて税込)。
〈酒と肴と晩ご飯 なか屋〉
kasumiさんのお気に入りは、甘辛く炊いた「きつね」330円、やわらかい「身欠きにしん」550円。お通し330円は、たっぷりのおだしを吸い込んだ厚揚げとがんも。どの料理にも日本酒が抜群に合う。3種飲み比べ1,200円(すべて税込)。
昔ながらの雰囲気が漂う「盃横丁」でカウンターのみ、全席禁煙、感染対策も万全。一人でも居心地がいい。■住所:埼玉県所沢市御幸町2-9 ■電話:04-2939-4700 ■営業時間:16:00〜22:00 ■定休日:火曜、水曜 https://www.instagram.com/koueinaka/
〈酒と肴と晩ご飯 なか屋〉
昔ながらの雰囲気が漂う「盃横丁」でカウンターのみ、全席禁煙、感染対策も万全。一人でも居心地がいい。■住所:埼玉県所沢市御幸町2-9 ■電話:04-2939-4700 ■営業時間:16:00〜22:00 ■定休日:火曜、水曜 https://www.instagram.com/koueinaka/