元酒屋が、自然派レストランに転身。椎名町界隈で、体にやさしい料理とお酒を丁寧に提供する〈みかわや〉。
池袋線
椎名町駅

元酒屋が、自然派レストランに転身。椎名町界隈で、体にやさしい料理とお酒を丁寧に提供する〈みかわや〉。

池袋からたったの一駅ながら、下町感あふれる「椎名町」駅。そこから歩いて10分ほどの目白通り沿いにあるレストラン〈みかわや〉は、祖父の代から続く元酒屋でした。3代目となる小宮隆さんが引き継ぐ際、大きくリニューアルし、自然派のお酒や食材の販売とともに、オーガニックレストランもオープン。「手軽な贅沢を届けたい」という小宮隆さんの思いが結実した“日々のごはん”は、この街に住む人びとの日々の暮らしを支えていました。

小宮 隆さん 西武線在住歴40年

生まれも育ちも下落合。実家の酒屋を継ぐべく、自然派食品店やレストランで修業を積み、2017年待望の店をオープン。

酒屋を存続させるために……。自分に何ができるかを考えてレストランで修業を。

祖父の代から続く酒屋をどうにか残せないかと考えて、オーガニックレストランへリニューアル。3代目の小宮隆さんはもともと飲食に興味はありましたが、「まさか自分がやるとは思っていなかった」と言います。しかも、オーガニックなものへ興味を持ったきっかけは、意外にも漫画でした。

「『美味しんぼ』を読んでいたら、有機の話の回があって。どれだけ味が違うんだろう?という興味から高田馬場の自然食品へ行って枝豆を買って食べてみたんです。通常よりも1.5倍くらい値段は高かったけれど、違いは確かにあるなと実感できました」

そして、その自然食品のお店で1年間ほどアルバイトをしつつ、そこで弁当づくりを手伝ったり、その後は、〈あえん〉という自然食材を使った和食屋で10年間、キッチンとしても働きました。目白店のオープン時には立ち上げのスタッフとして入り、そこで料理長まで経験してから、独立することに。

「家を建て直そうかというタイミングで、1階をレストランにリニューアルし、独立することにしました。自分がしたいことよりも、まずこのエリアに住んでいる人たちは何がほしいかということが重要だと考えて、1年ほど準備期間に当てました。押し付けがましくやっても仕方がありませんから」

お店のオープンまでに、この街のことをリサーチしたという小宮さん。時間帯や曜日によって、通りを歩く人はどれくらいの年齢なのか?この場所に何があればいいのか?何が求められているのか?そうやって改めて街を見回してみると、戸建ての家がマンションへと変わり、昔から住んでいる人だけでなく、30〜40代の新しい住民が増えていることに気がつきました。

「そういう人たちに使ってもらえるよう、庶民派でありながら、有機で安全安心な食材を使ったおいしいものが食べられるレストランをやろうと思いました。手軽にできる贅沢を目指していきたいと考えたんです」

レストランに酒屋が併設するという、いままでにないユニークな業態に。

酒屋がメインで、その一角でつまみなどが食べられる「角打ち」のスタイルとは異なり、〈みかわや〉はあくまでも主体はレストランで、お酒や自然食材も販売するセレクトショップを併設することにしました。

有機食材を使った一品料理のほか、ベジ・ヴィーガン対応のメニューも。また、店内のお酒はすべて抜栓料を払えば、自由に飲むことができるので、レストランで飲むよりも、お得に楽しむことができます。

「自分が好きなものと、料理に合わせやすいものなどを選んでいったら、自然とナチュール系のワインばかりになっていましたね。もちろん、普通にお酒を買いに来るだけでもOKですよ」

忙しい日々の中、体にいいものを取り入れたいというニーズはありつつも、まだまだ有機のものが日常的に買えるお店は限られています。しかし、ここ〈みかわや〉ならば、昼も夜も気軽に訪れることができる価格設定になっており、またお酒や食材も買えることもあって、オープン以来、着実にお客さまは増えていきました。

食べておいしいから、またお店に来てくれる。そういう循環を目指したい。

〈みかわや〉で出す食事もお酒も、自然派のものながら、値段は通常のものとあまり変わりません。体にいい有機のものをちゃんと届けるために、「正直、身を切っています」と小宮さんは話します。

「やはり、一番大切なのは誠実さじゃないでしょうか。物事に対してもそうだし、料理に関してもそう。正直でいることがやっぱり一番大事なんじゃないかと。産地偽装など見えないところはいくらでもごまかせてしまいます。国産か有機かといったことは、信頼関係のうえで成り立っているもの。そのためには信頼のおけるお店で買うしかありません。“ファンを増やす”じゃないですけど、信用してもらって、それでお店が成り立っていると思っています」

「おいしいと思ったものが有機だったというのが理想」と小宮さん。オーガニックを特別なものにはしたくない。そのためには価格も大事だと考えています。食べておいしいからまた来てくれる。その気持ちがいい循環を小宮さんは目指しています。

今年、46歳になる小宮さんは、近隣のお店の中ではまだまだ若手。老舗のお店が多いなか、町内会にもずっと誘われているそう。

「今までは自分のことだけで精一杯だったんですけど、町内会にも少しずつ参加したいと思っています。このあたりは東町会なんですが、近くにあるおとめ山公園では蛍の生育もしていて、街とのそうしたつながりも大切にしていきたいですね」

〈みかわや〉があるのは、下落合と椎名町、目白のちょうど中心。池袋や高田馬場など、大都市に近くて便利なのにもかかわらず、静かで自然もある場所で、流れている空気もどこかゆっくりな気がします。そんな都会のエアポケットのような落ち着いた自然豊かなエリアにある自然派レストランは、今日も静かにオープンしています。

今回ご紹介した〈みかわや〉について

■住所:東京都新宿区下落合3-22-16
■電話:03-3951-5656
■営業時間:11:30〜14:30(14:00LO)、18:00〜23:00(22:00LO)
■定休日:木、日

(photo:Kentaro Kase text:Kayo Yabushita)

○次回の更新は10月9日!練馬駅のワイン専門店を取り上げます。お楽しみに。

お気に入りスポットを聞きました!

フランスで修業して帰国後、2008年に地元で店をオープン。デザイナー吉谷博光さんによるこだわりがちりばめられ、フランスの小さなアンティークショップのような店構え。厳選した素材を使い、丁寧につくられた体にやさしいスイーツが並びます。
パティスリー カオリ・ヒロネ
フランスで修業して帰国後、2008年に地元で店をオープン。デザイナー吉谷博光さんによるこだわりがちりばめられ、フランスの小さなアンティークショップのような店構え。厳選した素材を使い、丁寧につくられた体にやさしいスイーツが並びます。
小宮さんのお気に入りは、季節のフルーツを使用したショートケーキ680円。この日は、シャインマスカット、プラム、桃、ブルーベリーの4種から選ぶことができました。かわいい特注のソファで、イートインも可能です。
パティスリー カオリ・ヒロネ
小宮さんのお気に入りは、季節のフルーツを使用したショートケーキ680円。この日は、シャインマスカット、プラム、桃、ブルーベリーの4種から選ぶことができました。かわいい特注のソファで、イートインも可能です。
花のかたちをした焼き菓子「フルール」180円は定番商品。かわいいオリジナルのボックスに詰めて手土産にも。■住所:東京都新宿区下落合3-20-1 ■電話番号:03-5996-3300 ■営業時間:11:30~17:00 ■定休日:火曜、水曜(不定休あり)
パティスリー カオリ・ヒロネ
花のかたちをした焼き菓子「フルール」180円は定番商品。かわいいオリジナルのボックスに詰めて手土産にも。■住所:東京都新宿区下落合3-20-1 ■電話番号:03-5996-3300 ■営業時間:11:30~17:00 ■定休日:火曜、水曜(不定休あり)
江戸時代には、将軍家の狩猟地だったというこのエリアは、立ち入り禁止という意味で「御留山(おとめやま)」と呼ばれていました。小高い山には雑木林に囲まれ、森林浴が楽しめる西側と、東側には大きな池があり、そこかしこにのんびりすごせる東屋やベンチが配されています。
新宿区立おとめ山公園
江戸時代には、将軍家の狩猟地だったというこのエリアは、立ち入り禁止という意味で「御留山(おとめやま)」と呼ばれていました。小高い山には雑木林に囲まれ、森林浴が楽しめる西側と、東側には大きな池があり、そこかしこにのんびりすごせる東屋やベンチが配されています。
中央部にある谷間には東京の名湧き水57選にも選ばれた湧き水もあり、江戸時代にはホタル狩りの名所としても知られていました。そこで昭和48年からホタルの飼育をはじめ、昭和53年からはホタルの観賞会を開催。毎年7月上旬には園内でホタルを見ることができます。
新宿区立おとめ山公園
中央部にある谷間には東京の名湧き水57選にも選ばれた湧き水もあり、江戸時代にはホタル狩りの名所としても知られていました。そこで昭和48年からホタルの飼育をはじめ、昭和53年からはホタルの観賞会を開催。毎年7月上旬には園内でホタルを見ることができます。
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新宿区立おとめ山公園
「自然がとても身近にあって、園内にはサワガニもいたりと、小さな頃からなじみのある公園です」と小宮さん。近隣住民の憩いの場として、いまも多くの人に愛されています。■住所:東京都新宿区下落合2-10 ■開演時間:7:00〜19:00(4〜9月)、7:00〜17:00(10〜3月)
鎌倉時代に開山された、真言宗豊山派の寺院で「東長谷寺」とも呼ばれます。総本山である奈良の長谷寺から牡丹の花が100株ほど移植され、現在では約40種、1000株にも増え、別名「牡丹寺」と呼ばれています。
薬王院
鎌倉時代に開山された、真言宗豊山派の寺院で「東長谷寺」とも呼ばれます。総本山である奈良の長谷寺から牡丹の花が100株ほど移植され、現在では約40種、1000株にも増え、別名「牡丹寺」と呼ばれています。
立派な本堂のまわりには、手入れの行き届いた庭が広がり、4月ともなれば牡丹の花が咲き乱れ、多くの人が訪れます。「なんといっても4月の大輪の牡丹が見事です。たまに野生のタヌキも出没するんですよ」(小宮さん)
薬王院
立派な本堂のまわりには、手入れの行き届いた庭が広がり、4月ともなれば牡丹の花が咲き乱れ、多くの人が訪れます。「なんといっても4月の大輪の牡丹が見事です。たまに野生のタヌキも出没するんですよ」(小宮さん)
隣には下落合野鳥の森公園が、歩いて7分ほどでおとめ山公園もあり、都心とは思えない自然豊かな場所。お散歩にもぴったりなエリアです。■住所:東京都新宿区下落合4-8-2 ■電話番号:03-3951-4324  ■開門:9:00〜17:00
薬王院
隣には下落合野鳥の森公園が、歩いて7分ほどでおとめ山公園もあり、都心とは思えない自然豊かな場所。お散歩にもぴったりなエリアです。■住所:東京都新宿区下落合4-8-2 ■電話番号:03-3951-4324 ■開門:9:00〜17:00

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