1枚のピッツァから石神井の食文化を発信。〈ピッツェリア ジターリア ダ フィリッポ〉店主が気づいた、この街の魅力とは。
池袋線
石神井公園駅

1枚のピッツァから石神井の食文化を発信。〈ピッツェリア ジターリア ダ フィリッポ〉店主が気づいた、この街の魅力とは。

池袋線「石神井公園」駅の西側に延びる商店街、通称“西友通り”に店を構える〈ピッツェリア ジターリア ダ フィリッポ〉は、グルメ通もわざわざ足を運ぶピッツァの名店。ナポリピッツァを日本に広めた〈サルヴァトーレクオモ〉で腕を磨き、世界大会で1位になった華々しい経歴を持つ店主の岩澤正和さんが、なぜ独立の場所に石神井を選んだのか。店を開いたことで気づいた、石神井のポテンシャルと魅力を語っていただきました。
店名の〈ジターリア〉は、イタリアにジャポネの「G」を合わせた造語。石神井のGや、グラーノ(小麦)のGなどの意味も込められている。

岩澤正和さん 3人目/22人(西武線在住歴15年)

前職で新宿勤務だった頃から新宿線沿線に住み、現在は自宅とお店を自転車で通勤。

商店街の懐の深さが結びつけた、石神井が誇る名ピッツェリアの誕生。

ここ数年、都会的な空気感をバランスよく取り入れた、センスのいい飲食店が増えつつある石神井公園エリア。7年前にオープンした〈ピッツェリア ジターリア ダ フィリッポ〉は、そのパイオニア的な1軒。オープン当時、「ナポリピッツァの世界大会で1位になった人の店」が石神井に誕生したことは、地元で大きな話題になりました。

「最初は、中目黒、恵比寿、自由が丘、茅ケ崎、阿佐ヶ谷を候補に物件を探していました。でも申し込んだ物件すべての審査に落ちちゃって。それで、たまたまこの商店街のケーキ屋さんに寄ったら、お隣の松村不動産を紹介してくれたんです。経営者としての実績はまったくのゼロだけど、前職での経験や大会での実績を話したら『イケるぞ!』って。『ここの商店街はみんな応援してくれる街だぞ』って背中を押してくれたんです」

同じ区内の関町に15年ほど住んでいる岩澤さんは、もともと石神井に土地勘があり、「畑が近いことも魅力だった」と言います。

「石神井には近所にたくさん農家さんがいるから、作り手の顔が見える、新鮮で安心安全な野菜を使えるのは大きなメリットでした。ナポリから種を仕入れて、野菜を育ててもらったりもしています」

店の使命は地元の食文化を根づかせること。農家さんのクチコミは最大の宣伝。

〈フィリッポ〉のピッツァは、EUの伝統的特産品保証を日本で唯一クリアした、北海道の江別製粉との共同開発による「100%北海道」でつくる甘みと香りのよい、歯切れのいい生地が特徴。その上に、練馬産や武蔵野産の旬の野菜がのる。野菜の種類は特に限定せず、いま畑で採れるものを使ってメニューを構成しています。

「今って、地元のスーパーや八百屋に地元の食材が売っていない変な時代。季節問わず何でもそろっているから、旬もわからない。まずは地元の食文化を立て直すことが、僕らのやるべきことだと考えています。僕の店では使いたい食材ではなく、いま近所の畑にあるものを使う。それによって、旬を感じられるし、野菜の鮮度もいいし、店で積極的に使うことで農家さんの価値も上がる。主役は僕らではなく生産者。そうしてやっと地元の食文化が根づいたら、そのとき初めてイタリアの食材を使って、イタリアを再現した非日常を演出すればいい。なので、ナポリピッツァをつくるのは100年後でもいいかな。壮大な遠回りですね(笑)」

店のメニューを開くと、大泉の「白石農園」や「山口農園」、三原台の「加藤農園」などをはじめ、ご近所の農家さんの名前が所々に登場。その農家さんたちも、しょっちゅうお店にランチをしに訪れてくれるそう。

「いまおつき合いある農家さんとは、加藤農園の加藤さんがお客さんで来てくれたのがきっかけ。加藤さんからほかの農家さんを紹介してもらって、それでどんどん輪が広がっていきました。そうすると、その農家さんがいろんな人に宣伝してくれるんです。農家のお母さんがうちにお客さんを連れてきて、自慢するんですよ。『メニューにうちの名前が入っているのよ』って誇らしげに」

そう言って、岩澤さんはうれしそうに笑った。地元の人の信頼と集客を得るには、お金をかけた宣伝やSNSよりもおばちゃんのクチコミが絶大。地元の人たちと向き合って、深く関係を築いてきたからこそ、〈フィリッポ〉はこの街の人たちに愛されていることが伝わってきます。

石神井は豊かな生活に価値を置く感度の高い人が多い街

お店を持つ以前は、石神井にどんなイメージを抱いていたのかをたずねると、「イモっぽいと思っていた」と岩澤さん。

「練馬っていえば大根のイメージがあったし、港区や渋谷区とかに住んでいる人のほうが圧倒的に感度が高いと思っていました。だから有名店が少ないし、商売が難しいんじゃないかなと」

でも、その印象はお店をはじめてからガラリと変わりました。

「実際にお店に立ってみたら真逆でしたね。食に対しても都心に食べに行っている人がたくさんいて、“安かろう不味かろう”より、多少値段が高くても安全安心でおいしいものを食べたい人がたくさんいた。練馬は個人事業主が一番多い区だし、だからこだわりも強い。特に石神井は、豊かな生活を送ることに価値を置いた、感度の高い人が多い気がします。この街の人たちが、そういう店を求めていたってことが数年がかりでわかりました」

オープン当時は所々シャッターが閉まっていたこの商店街にも、若い店主が営む老若男女に人気の居酒屋や、おしゃれなママたちが集うカフェやデリが誕生し、通りの景色も明るくにぎやかに変化。練馬産の野菜を使った、地産地消を謳う店も続々と増えています。〈フィリッポ〉の存在が、この商店街はもちろん、石神井全体に“街の人が求めている場所”を呼び寄せているといっても、過言ではありません。

「ビストロも中華も居酒屋も、ここ数年でひと通りそろいましたね。食べたいもの、欲しいものが石神井で完結できるようになったから、僕も休日にわざわざ都心に行かなくなりました。今の石神井、めちゃめちゃいいですよ」

今回ご紹介したお店〈ピッツェリア ジターリア ダ フィリッポ〉について

■店名:〈ピッツェリア ジターリア ダ フィリッポ〉
■住所:東京都練馬区石神井町2-13-5 グリーンハイム 1F
■電話:03-5923-9783
■営業時間:12:00~15:00(14:30LO)18:00~22:00(21:30LO)
■定休日:木休(その他不定休あり)

(photo:Noriko Yoneyama text:Ayano Sakai)

お気に入りスポットを聞きました!

レミリオ_1
REMILIO(レミリオ)
「N.Yでミランダ・カーやトップモデルを手掛けていた、世界的なヘアスタイリストが石神井にいます」(岩澤さん)。その方が〈フィリッポ〉のスタッフはじめ、地元の子供から大人まで幅広いお客さんに支持されている〈REMILIO(レミリオ)〉の店主、傳さん。
レミリオ_2
REMILIO(レミリオ)
傳さんは岩澤さんと同郷の友人でもあるんです。〈フィリッポ〉があったから、ここに店を持つことに決心したとか。サロンでは〈フィリッポ〉のグッズやお客さんの手作りアクセサリーなども販売しています。
レミリオ_3
REMILIO(レミリオ)
住所:東京都練馬区石神井町2-13-15-204  電話:03-6913-1055 営業時間:月9:00〜23:00、火9:00〜22:00、水9:00〜21:00、金9:00〜23:00、土・日9:00〜20:00(最終受付:カット1時間前、カラーorパーマ2時間前、カラー&パーマ3時間前 定休日:木
くうのむちゃのま_1
くうのむ ちゃのま
〈フィリッポ〉のお隣に入居する居酒屋。「店主は老舗とんかつ屋のせがれ。居酒屋レベルを超えたウマイとんかつが食べられますよ!」(岩澤さん)。炭火で焼く魚や日替わりのおばんざいなど絶品揃い!
くうのむちゃのま_2
くうのむ ちゃのま
全国の居酒屋を飲み食い歩いた店主が、理想の「酒好きの空間」に仕立てた店内。食欲がそそられるメニューに、囲炉裏やおばんざいを囲むL字カウンターとテーブル席、フレンドリーなスタッフに出迎えられワイガヤ楽しめます。
くうのむちゃのま_3
くうのむ ちゃのま
オリジナルの酎ハイや「澤乃井」の樽酒など呑んべえ好みのアルコールメニューも魅力。若い女性客にも人気の1軒。住所:東京都練馬区石神井町2-13-5グリーンハイムたちばな102 電話:03-5923-5677 営業時間:17:00~24:00 定休日:不定休
まなマート_1
まなマート
「創業72年の石神井の老舗スーパーマーケット。感度の高い牛肉や当店でも使っている国産小麦のパスタ、当店がプロデュースした武蔵野ジェラートなども取り扱ってます」(岩澤さん)。
まなマート_2
まなマート
まなマートとフィリッポでコラボした「まなっぽジェラート」1個300円。いちごや抹茶、いちじく、トマトなど、地元の農園でつくられた果物や野菜を使ったフレーバーが大人気!
まなマート_3
まなマート
毎週金曜と日曜は好きな商品が10%OFFになる「マイシール」を先着で配布。店内に流れるテーマソングも石神井名物。 住所:東京都練馬区石神井町3-24-2 電話:03-3995-3701  営業時間:月~金10:00~24:00、土・祝10:00~22:00 日9:00~22:00 定休日:1月1日

Area Map 紹介エリアマップ

Hanakoオリジナル 西武鉄道沿線マップ

通勤・通学も便利な街。Hanakoオリジナル
西武線沿線マップ