仕事、子育て、人づきあいを同じ街で。西武柳沢にある人気ベーグル店〈M's oven〉の地域暮らし。
新宿線
西武柳沢駅

仕事、子育て、人づきあいを同じ街で。西武柳沢にある人気ベーグル店〈M’s oven〉の地域暮らし。

新宿線「西武柳沢」駅のすぐ近くにある踏切脇に、小さいけれどひときわ目立つ黄色い「M」マークの看板。かじってパリッ、噛んでモチモチな食感の〈M's oven(エムズ オーブン)〉のベーグルはオープン2年目にして、すでに柳沢を代表するグルメのひとつになっています。いまや小学生からお年寄りまで、老若男女を虜にしている〈M's oven〉のベーグルですが、その原点は、我が子のための手づくりにありました。
「私がここにいることで、知り合いが会いにきてくれる。そういう点でも店を構えてよかったなと思っています」と相原さん。

相原万里さん 2人目/22人(西武線在住歴7年)

シェアキッチンでの製造販売を経て2017年、地元でベーグル専門店〈M's oven〉をオープン。

母としての愛情から始まり、周囲の期待に応えて続けたベーグルづくり。

卵と乳製品アレルギーのために市販のパンが食べられない我が子に、おいしいパンを食べさせてやりたい──母親としてのそんな純粋な思いから始まったというベーグルづくり。だからこそ、それを販売するなんて、ましてや店を持つなんて、はじめは考えてもいなかったという相原万里さん。

ほどなくして「子どもが通っていた保育園の友だちにもやはりアレルギーの子がいたので、うちにもつくってとママ友に頼まれるように」なり、生産数はどんどん増えていきました。

「その頃は会社勤めをしていたので、休日にまとめてベーグルを焼いていました。家庭用のコンベンションオーブンで焼けるのは一度に4個。それなのに、50個以上焼かなければいけなくて(笑)!」

休日はベーグルづくりにかかりっきりで、子どもの面倒を見ることもままならなくなってしまいました。そんな状況を打破すべく、相原さんはシェアキッチンを借りることを思いつきます。多摩湖線「一橋学園」駅近くにシェアキッチンを見つけ、週2日だけ営業するお店をスタート。

「備えつけの厨房でベーグルをつくり、その場で売る。併設のカフェスペースで、ドリンクも提供するイートインもやりました」という相原さんは、なんと、それらをすべてひとりでこなしていたといいます。でも、この時もまだ自分の店を持つことは考えていなかったそう。

独立の決意を固めるきっかけとなったのは、自らの体調を崩し、勤めを辞さなければならなくなったこと。「自分のやりたいことはなんだろう」と、あらためて考えてみた時、ベーグルの存在が思いのほか、自分のなかで大きくなっていたことに気がついたのです。

「店をやるなら、絶対にここがいい!」ほどよくアットホームな柳沢の街で心に決め、信じて待った2年間。

新宿線「西武柳沢」駅界隈は都下の駅ならではの、のんびりとした雰囲気が漂っています。店を構える場所として、急行停車駅ははなから候補に入れていなかったという相原さん。「(街の)スピードが速すぎたり、競合店が多かったりするところでは、私は勝負できないと思ったんです」

そこで目をつけたのが、自宅と保育園の行き来で毎日通る、踏切脇にあるいまの物件でした。「絶対にここがいい!」と決めてしまったのは、自分の心のなかでだけ。だってこの時はまだ、空き物件ではなかったのですから。なぜ、そんなにこの物件にこだわったのでしょう?

「まず、自宅から近いこと。そして店の立地としては、目の前に踏切があって人々の足が止まるのと、店内に陽射しが入る明るさがいいなと思いました。もちろん、近所に競合店がないこともよかった」

ふたつのテナントが空くのをじっと待ち、晴れて借りられるようになった頃には2年の月日が経っていました。その間もシェアキッチンでの営業は続け、独立前ながら顧客の数は順調に増やしていったのでした。

仕事も、子育ても、人づき合いもすべてをいい塩梅でまかなえる地元での心地いい生活。

この春で開店2周年。この場所でやってみて、実際のところどうですか?と問うと、「ちょうどいい!ですね。週4日の営業についてもそうですが、『子どもの運動会があるので』と臨時休業する際にも『しょうがないわね、がんばってね』って受け入れてもらえている感じが心地いいんです」と相原さん。

近所の子どもたちにも、「何かあったらここにおいで」と言ってあるそう。実際、「鍵を忘れた」「水が飲みたい」などなど、何かと頼りにされているようですが、近所にそういう存在があるのは親御さんにとってもとても心強いはず。

「ここ柳沢には会社員だった頃から住んでいますが、当時は家と会社の往復だけでした。でもいまでは、道端で声をかけてもらったり、子どもを見てもらったり。住民に知り合いが増えて、以前より暮らしやすくなったと感じています」

また最近は、商店街がおもしろくなってきていて、楽しさもプラスされているよう。

「花屋さんや焼き菓子屋さん、駄菓子屋さんなど、おもしろい店がぽつぽつとできているんです。女の人がひとりで切り盛りしているお店も多くて。この街には大きなチェーン店などがない代わりに、住民は個人商店で買うことに慣れているんですね。だから小さい店ができると、応援しようとみんなが買い物に来てくれるんです」

ほどよい町の規模と距離感で、いい塩梅で地元の人たちと支え合う。古きよき近所つき合いが、ここでは現役で保たれているのです。

今回ご紹介した〈M's oven〉について

■店名:M's oven
■住所:西東京市柳沢6-1-12 マック柳沢コート102
■電話:非公開
■営業時間:12:00~18:00(土曜日11:00~14:00)
■定休日:月木日
■公式サイト:https://msoven.thebase.in

(photo:Jiro Fujita/photopicnic text:Mick Nomura/photopicnic)

お気に入りスポットを聞きました!

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atelier flocorir
2017年にオープン、女性ひとりでの経営と、〈M's oven〉と共通点の多い〈atelier flocorir〉(アトリエ フロコリール)。日本フラワーデザイナー協会の講師でもある中村奈穂美さんの営む小さなお花屋さんです。
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atelier flocorir
増田バラ園直送の珍しい「香りのバラ」で、店内はいつもいい香り。「お店に深呼吸しにいくこともあります(笑)」と相原さん。5種の系統の香りを組み合わせ、その日の体調に合わせたブーケもつくってくれます。
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atelier flocorir
定期的にフラワーレッスンも開催中。フラワーデザイナーの資格が取得できる本格的なコースもあります。住所:東京都西東京市保谷町3-26-19 電話:090-6518-0878 営業時間:11:00~18:00 定休日:日火 https://www.flocorir.me/
東伏見公園_1
都立東伏見公園
新宿線「西武柳沢」駅と「東伏見」駅の中間に位置する都立公園。東伏見稲荷の森とも隣接した地域住民の憩いの場は、ゆったりとした広い歩道橋によって、線路を挟んだ北側と南側とをつなぐ役割も担っています。
東伏見公園_2
都立東伏見公園
「クローバーがたくさんの原っぱに、吹き抜ける風。とにかく気持ちよく過ごせます。ここで子どもたちをたっぷり遊ばせた後、公園の先のスーパーに買い出しに行くのが休みの日の定番です」と相原家の行きつけスポット。
東伏見公園_3
都立東伏見公園
広々とした芝生、丘の上にある全長49メートルものローラーすべり台。新宿線の上にかかる歩道橋や電車がよく見えるウッドデッキも子どもたちに人気のポイントです。住所:東京都西東京市東伏見一丁目 電話:0422-31-6457(都立野川公園サービスセンター)
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やすだ農園
4代目の安田加奈子さんご夫婦とご両親の家族4人で営んでいる、100年続く農家さん。東京の風土に合う、旬を大切にした露地栽培にこだわっています。都内百貨店や地元のスーパー、有名レストランなどの卸しがメイン。
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やすだ農園
「直売所では、新鮮でおいしいのはもちろん、なかなかお目にかからないような珍しい野菜も驚くほど安く買えます」と相原さん。常時50種ほど育てているという野菜は、相原家の食卓にのぼるのはもちろん、〈M's oven〉のベーグルサンドの具材になることも。
やすだ農園_3
やすだ農園
個人で野菜を購入したい場合は、直売所のほか、催事やマルシェへの出店などでどうぞ。最新情報はインスタやFBで。オンラインショップもあります。住所:東京都西東京市西原町2-1-31 電話:080-3209-0831 営業時間:9:00~18:00 http://yasudanouen.tokyo/

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