「下落合から地元の魅力と日本文化を発信」。世界初のクラフトコーラ専門店〈伊良コーラ〉が下落合に誕生。
新宿線
下落合駅

「下落合から地元の魅力と日本文化を発信」。世界初のクラフトコーラ専門店〈伊良コーラ〉が下落合に誕生。

世界初となるクラフトコーラ専門店〈伊良(いよし)コーラ〉。その直売所兼工房が、この春、新宿線「下落合」駅に誕生しました。「クラフトコーラを日本の文化に」と話す店主・小林隆英さんに、商品開発までのストーリーや下落合を拠点に選んだ理由をうかがいました。
店内からは、ガラス越しに工房の様子を眺めることもできます。コーラの実を砕く粉砕機や薬棚など、小林さんの祖父から受け継いだ仕事道具がそこかしこに。

小林隆英さん 西武線在住歴20年

大学卒業後、広告代理店に就職し、その傍らでクラフトコーラ作りに没頭。移動販売が話題になり、2020年2月、実店舗をオープン

和漢方職人の祖父の仕事をヒントに、クラフトコーラが誕生。

都内のファーマーズマーケットを中心に、フードトラックでクラフトコーラの移動販売をしていた〈伊良コーラ〉の店主・小林隆英さん。伊勢丹新宿店をはじめ、都内のセレクトショップ等でも取り扱われ、“カワセミ印のクラフトコーラ”が巷でちょっと気になる存在になりつつあります。

これまで飲んできたコーラとは全く異なる、初めて味わうおいしさに驚かされる〈伊良コーラ〉。コーラマニアだった青年が、趣味の域を超えて世界初のクラフトコーラ専門店を出店するまでの経緯には、和漢方職人だった小林さんの祖父のヒストリーが大きく影響していました。

「もともとコーラが大好きで、“コカ・コーラの秘密のレシピ”というのをたまたまネットで見つけて、作ってみたいと思ったのが〈伊良コーラ〉の出発点。当時はサラリーマンをしながら趣味でコーラを作っていたんですが、2年くらい味の壁が越えられなかったんです。そんな時、和漢方工場を営んでいた祖父が亡くなり、その遺品整理で道具や調合などを調べているうちに、これをコーラ作りに活かせるんじゃないかとひらめきました」

「ジャンクなイメージを覆したい」。驚きと幸せを生む、スパイス香る手作りの味わい。

祖父の魂を受け継ぎレシピを改良したことで、味に深さが生まれ今の味に辿り着いたという小林さん。一般的なコーラとは異なり、小林さんの作るコーラは、すべて天然の材料を使用したスパイスが香る優しい味わいが特徴です。

「コーラの語源でもあるコラの木の果実“コーラの実”や、シナモン、ナツメグ、グローブ、コリアンダーなど数種類のスパイスに、バニラビーンズやラベンダーを調合。コーラの実は、直接ガーナに行って買い付けています。コーラの実には薬効成分もあり、祖父の漢方の概念にもつながるものがある。従来のコーラが持つ既成概念を壊すことも、〈伊良コーラ〉のテーマです」

「工房から下落合の魅力を発信して、地元に恩返しがしたい」。

この春、待望の実店舗〈伊良コーラ総本店下落合〉がオープン。取り壊される予定だった、小林さんの祖父が営んでいた〈伊良葯工(いよしやっこう)〉の跡地に直売所兼工房を開き、歴史ある場所に新しい息を吹き込みました。

お店があるのは、新宿線「下落合」駅の近くを流れる、神田川の橋を渡った川沿いの遊歩道。駅からすぐなのにのんびりとした雰囲気で、ここが新宿区であることを忘れてしまうほどのどかな空気が流れています。

「新宿都庁まで自転車で10分くらいで行ける便利な立地なのに、下落合ってランドマークとなるようなお店が少ないんです。駅のすぐそばには神田川が流れていて、春は川沿いの桜並木がとてもきれい。その景色が小さい頃からずっと好きで、ここにお店を構えることで、このエリアのロケーションの美しさやのどかさ、下落合の価値や魅力に気づいてもらって人やお店がもっと増えたらうれしいですね」

小林さんは下落合のご出身。ここから地元の魅力を発信することで「街に恩返しができたら」と話します。

「“下落合”って地元の人以外になかなか伝わらないんです。それで、最初は〈伊良コーラ総本店高田馬場〉にしようかとも思いましたが、やっぱり地元をアピールしたくて〈下落合〉にしました。地名が入ることによって『どこ?』って、街に興味を持ってもらえるきっかけになれば」

クラフトコーラを日本の文化に。

直売所と工房が同居しているのは、どんな工房でどんな職人が作っているのか、“顔の見えるものづくり”を伝えたいから。「クラフトコーラ」という商品を通じて、日本のものづくりや食材などの文化を世界へ発信していきたい。そんな想いが込められています。また、川沿いにお店を構えたことにも大きな意味がありました。

「お店の横を流れる神田川をずっと下ると、日本橋川に合流して、その先で隅田川から東京湾に合流して世界につながっていく。この工房から世界を目指すという意味も込めて、川の近くに拠点を置きました。フードトラックの『カワセミ号』は、世界に出港する船がモチーフ。ユニフォームは水兵さんをイメージしています」

小林さんの目標は、〈伊良コーラ〉がコカ・コーラ、ペプシに続く第三のブランドになること。「クラフトコーラの先駆者としてこれを文化にしていく責任がある」と語ります。飄々とした雰囲気とは裏腹に、芯に秘めた熱い思いと信念。クラフトコーラが日本の文化になる日も、そう遠くはないかもしれません。

【今回ご紹介した〈伊良コーラ〉について】

■住所:東京都新宿区高田馬場3-44-2
■営業時間:土日祝11:00〜17:00
■公式サイト:https://iyoshicola.com/

(photo:Hiromi Kurokawa,Noriko Yoneyama text:Ayano Sakai)

※記事に掲載されている情報は取材時のもので、現状と異なる場合がございます。

お気に入りスポットを聞きました!

ふじや染工房 下落合
ふじや染工房
小林さんのご実家の近所にある、昭和27年から続く着物の引染工房。「お店の暖簾は、こちらで作っていただきました」(小林さん)。工房の床は、創業当時と変わらぬ土床。伏せ糊を早く乾かすために、たくさんのストーブが並べられています。
ふじや染工房 下落合
ふじや染工房
生地を挟む張手、染料を塗るハケ、生地を均一に張る伸子は、染め職人に欠かせない道具。かつては東京の染色産業の中心地だった落合・中井地域。当時は、職人たちが川のあちこちで染め物の水洗いをする様子が身近な風景だったとか。
ふじや染工房 下落合
ふじや染工房
三代目の中村隆敏さんと、二代目の博幸さん。通常、工房の見学は行っていませんが、年1回開催されるイベント「紺屋めぐり」開催時に、工房でワークショップなどを実施しています。■東京都新宿区高田馬場3-28-13 ■03-3368-8559
中華そば 彩 下落合
中華そば 彩
小林さんが足繁く通う、下落合駅前のラーメン屋。「お気に入りは紅塩つけ麺。メニューにはありませんが、特別にレモンをトッピングして食べるのが好き。多いときは週1で通ってます」(小林さん)。
中華そば 彩 下落合
中華そば 彩
一番人気のメニューは「紅塩つけ麺」760円。ミネラル豊富でまろやかな塩味のアンデスの紅塩と、トンコツと鶏ガラベースの清湯スープで作るつけダレが、コク深くもあっさりで美味。モチモチっとした食感の自家製の太麺と相性抜群です。
中華そば 彩 下落合
中華そば 彩
もやし1袋を使った「台湾つけ麺」や、「酸っぱくて辛いラーメン」なども人気。■東京都新宿区下落合1-16-2はらビル1F ■03-3950-7132 ■11:30~14:00、18:00~21:00 土祝11:30~14:30、18:00~21:00 ※スープがなくなり次第終了 ■定休日:日
せせらぎの里公苑 下落合
せせらぎの里公苑
「駅から近いのに静かで、ベンチが多く、お昼をここで食べたりひと休みしによく訪れます。のんびりできますよ」(小林さん)。芝生で日向ぼっこする親子や、あずまやで井戸端会議をしているおじいちゃんなど、ほのぼのとした空気が流れています。
せせらぎの里公苑 下落合
せせらぎの里公苑
下水道局落合水再生センターの北側上部に、昭和62年に開苑。下水の浄化水が源泉のせせらぎを中心に、四季折々の草花や桜並木など、緑に囲まれた気持ちのいい空間が広がります。
せせらぎの里公苑 下落合
せせらぎの里公苑
公園の東側には子供広場も。地元の人たちの憩いの場として愛されている、都会のオアシスです。公園の隣には、野球場やテニスコートがあり、新宿区のスポーツ施設として利用されています。■東京都新宿区上落合1-1-1

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