パンとお菓子と小さなレストラン bèe
池袋線
大泉学園駅

食卓を豊かにするパンと、おいしい料理を求めて。ローカルな心地よさあふれる〈パンとお菓子と小さなレストラン bèe〉へ

2021年6月、西武鉄道池袋線大泉学園駅の人気ブーランジェリー〈bèe(ベー)〉が、同駅にレストランを併設した〈パンとお菓子と小さなレストラン bèe〉として移転オープンしました。食卓に添えるパンを買いに行ったり、ゆったりランチをしたり、はたまた店頭に置かれている地元野菜やコーヒーを手に取ったり……。さまざまな“大泉のいいもの”を求めて地元民が集まるこの場所では、暮らしと自然が同居するこの街の魅力を垣間見ることができます。
パンとお菓子と小さなレストラン bèe

國島はるひ 西武線在住歴18年

〈パンとお菓子と小さなレストラン bèe〉の“まとめ役”。江古田で生まれ育ち、2003年に大泉学園に越してきた。

おいしいパンと料理に、心がゆるむ。そんな場所が駅前にできました。

パンとお菓子と小さなレストラン bèe

大泉学園エリアで親しまれてきたブーランジェリー〈bèe〉が、レストランを併設した〈パンとお菓子と小さなレストラン bèe〉として移転オープンしたのは、約1年前のこと。パン職人の國島武人さんが焼くパンとともに、シェフの雨宮佳代子さんが仕立てるイタリア料理をベースにした一皿が楽しめるようになりました。

そして2人の職人とスタッフを引っぱっているのが、同店の“まとめ役”と名乗る、武人さんの妻、國島はるひさんです。約20年前に夫妻でブーランジェリーをオープンするにあたって、この街に引っ越してきました。

パンとお菓子と小さなレストラン bèe

江古田出身の國島さんは、ここ大泉学園界隈を「ゆとりがある街」だと話します。

「江古田は学生街というのもあり、お店がひしめきあう賑やかな街なんです。対する大泉学園は、のどかでゆったりしていますね。道幅にゆとりがあって一つの区画も大きいし、江古田とはまた違う、暮らしやすさがあります。商業施設がある駅前は賑わっていますが、少し奥に行けば住宅街なので、とても静かなんですよ」

大泉学園に引っ越してから、自身のライフスタイルにも変化があったとか。

「江古田に住んでいたころは、休日に都心へ出かけることが多かったんですが、この街に来てからは、お休みができたらご近所をめぐるのがルーティンになりました。ギャラリーやカフェなどの小さなお店が点在していて歩くのが楽しいんです。緑も多いですし、買いものからリフレッシュまで、この街ですべてが済むようになりましたね」

パンとお菓子と小さなレストラン bèe

長年お店に立っているなかで、見えてきたのは客層の幅広さ。年齢層も広く、外国に住んでいたお客さまも多いのだそう。武人さんが長年作り続けてきた「主役になるのではなく、素朴に“お料理を引き立てるパン”」を提供することで、 “食事と一緒にパンを食べる文化”が、この地で受け入れられるのでは、と感じたという國島さん。

「夫が焼くおいしいパンを、お料理と一緒に味わえる場所ができたら……と、長年考えていました。レストランがあれば、パンに合う一皿や相性がいい食材との組み合わせを提案しながら、焼きたてを食べていただけますしね」

そして2021年、縁があってこの場所を紹介されたことをきっかけに、その思いが叶います。パンの卸先として出会ったシェフの雨宮さんとタッグを組むことになりました。

内装を手がけたのは、栃木県・益子を拠点にする建築家の町田泰彦さん。古板を張った床や、日本の古家具や道具をそろえる〈pejite〉の家具を使い、ほっとする空間に。
内装を手がけたのは、栃木県・益子を拠点にする建築家の町田泰彦さん。古板を張った床や、日本の古家具や道具をそろえる〈pejite〉の家具を使い、ほっとする空間に。

しみじみおいしい料理は、そのストーリーに合ったパンと一緒に。

パンとお菓子と小さなレストラン bèe

食事と一緒に食べるハード系は〈bèe〉の看板商品。パン ド カンパーニュやバゲット、オリーブを練り込んだものなどの食事に合わせるパンを中心に3〜40種類をラインナップしています。

武人さんはお菓子の専門学校に通ったのち、都内や隣県での修業を経て独立。ご実家もパン屋を営んでいるそうですが、自身が作りたいパンを極めたいとの思いから、自らお店を構えました。

「パンの材料である粉と酵母は、気候や仕込み具合によって状態が変わります。夫は生地作りから焼きあげるまで、どんなときもベストな状態を見極める技術があると私は分析していて。見ている限り、このパンを売っていいと判断するストライクゾーンも狭い。厳しいのではなく、それを当たり前のこととしてやっている職人なんです」

パンとお菓子と小さなレストラン bèe

料理については、「雨宮さんのお料理は食べ終わったときに『あぁおいしかった、また食べたい』としみじみ感じる」と話します。イタリアや日本で修業を重ねた雨宮さんの料理は、イタリアンをベースに、その日の食材や気分によって内容は変わります。料理に添えるパンは、國島さんがセレクトしています。

昼夜ともに基本はコースで用意。ランチは平日1,600円〜、土日祝2,900円〜。写真の土日祝のランチは平日よりも1品増え、ゆったり食べられる構成に。ディナーは4,800円(各税込)。
昼夜ともに基本はコースで用意。ランチは平日1,600円〜、土日祝2,900円〜。写真の土日祝のランチは平日よりも1品増え、ゆったり食べられる構成に。ディナーは4,800円(各税込)。

「例えば、雨宮さんの得意料理である肉野菜を煮込んだボリートミストをお出しする時。イタリアのおでんとも称される郷土料理なんですが、そんなしみじみした一皿には田舎パンのカンパーニュを。今日は洗練された雰囲気があるなと感じたら、フランス産の小麦だけで作るバゲットを添えるなど、料理に合うものをその時々で選んでいます」

お料理のストーリーに合うパン、異なるニュアンスのパンを2種類提供。長年パン作りを近くで見てきたことに加えて、自身も製造を手伝っていた時期があるからこそ合うパンを見極める。
お料理のストーリーに合うパン、異なるニュアンスのパンを2種類提供。長年パン作りを近くで見てきたことに加えて、自身も製造を手伝っていた時期があるからこそ合うパンを見極める。

例えるなら“大泉のデパート”。地元で作られた“いいもの”との出会いもここでの楽しみ。

手作りのエスカルゴバターや豚のリエット、セレクトしたジャムなど、おうちでよりパンをおいしく食べていただける提案も。
手作りのエスカルゴバターや豚のリエット、セレクトしたジャムなど、おうちでよりパンをおいしく食べていただける提案も。

食事する時間だけではなく、いろんな出会いがあるのも〈bèe〉の楽しさ。ショーケースにはパンのお供をはじめ、武人さんとパティシエによるケーキなども並びます。地元のお野菜やコーヒーなど、地域で作られている食材もそろえ、なかでもお野菜は、一度食べたら毎週のように買いに来る人が多いのだとか。

「大泉学園は都内のなかでも農家さんが多い地域なので、いろんなお野菜を採れたてで食べられるのも魅力です。最近はお野菜だけ買いに来る方もいるんですよ(笑)! レストランでもお出ししていますが、こんなにおいしいお野菜が地元で作られていることを知っていただきたくて、店頭でもお出ししています。どのお野菜も味わい深く、とってもおいしいですよ」

パンとお菓子と小さなレストラン bèe

お客さまから「ここに来れば食卓のものが全部そろう、大泉のデパートだよ」と声をかけていただくこともあるといいます。お食事だけではなく、ここに来れば、大泉学園のいいものがそろうのも、〈bèe〉を訪れる楽しみのひとつ。

「私たちもそうですが、大泉にはコツコツと食材やものづくりと向き合う個人店がたくさんあります。それぞれのつながりがとても深いので、ここを通して地元の素敵なものたちを知っていただけたら。ちなみにお店で使っているエプロンも、石神井公園に事務所を構える会津木綿のブランド〈HARAPPA〉さんが受注生産しているもの。軽いので肩が凝らず、着心地がいいんです。お客さまにもおすすめしたくてこちらも店頭に置いています」

〈パンとお菓子と小さなレストラン bèe〉で感じる、ローカルな心地よさ。ふらっと立ち寄っただけなのに、帰る時には、大泉学園生まれの“いいもの”を両手いっぱいに持ち帰っているはずです。

今回ご紹介した〈パンとお菓子と小さなレストラン bèe〉について

パンとお菓子と小さなレストラン bèe

◾️住所:練馬区東大泉1-27-28
◾️電話:03-5387-3522
◾️営業時間:パン11:00〜19:00
レストラン火水金11:30〜14:00(LO)、17:30〜20:00(LO)、土12:00〜14:00(LO)、17:30〜20:00(LO)
◾️定休日:月曜・木曜・日曜
https://www.facebook.com/bee9240/
※2024/2/28時点の情報
※記事に掲載されている情報は取材時のもので、現状と異なる場合がございます。

(photo: Miyu Yasuda, text:Wako Kanashiro)

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店主の竹中裕紀子さんが4年の焙煎経験を経てオープンしたカフェ。お菓子の家をイメージした造りでバタークリームのような壁や板チョコをモチーフにした窓枠など甘いもの好きな竹中さんのこだわりが詰まった空間に。
〈nericafe〉
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毎日豆と向き合い、店内で選別から焙煎、抽出も手がけます。コーヒー520円〜は「ペーパーまたはネルドリップで。細かく豆を選別されており、おいしいコーヒーってこんな味わいなんだと気付かされます」(國島さん)
〈nericafe〉
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豆は浅煎りから深煎りまで約11種。店内では〈bèe〉のテリーヌショコラも。■住所:練馬区大泉学園町1-16-15 ■電話:03-5935-8508 ■営業時間:13:00~18:00 ■定休日:日曜・月曜(木曜日はテイクアウトと豆の販売のみ)http://nericafe.com/
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大泉学園で約350年続く農家。「地域の人に必要とされるよう続けていきたい」と代表の白石さんは話します。「農福連携にも貢献されるなど多岐にわたり活躍中。ご家族のキャラの濃さと仲良し度が素敵です」(國島さん)
〈白石農園〉
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野菜は農園横の直売所、〈ライフ〉石神井公園店や土支田店などでも買えます。最近は練馬区の企業〈REDD〉と協力し、出荷時に長さをそろえるために切り捨ててしまうアスパラの茎を使用したほうじ茶「翠茎茶」も開発。
〈白石農園〉
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名物の「東京アスパラガス」をはじめ、年間3〜40品目を栽培。不定期で収穫体験も。■住所:練馬区大泉町1-44-14 ■電話:080-5087-5238 ■営業時間:日により異なる ■定休日:不定休https://shiraishi-farm.com/
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大泉学園出身のガラス作家・貴島雄太朗さんが主宰する工房。長年試行錯誤し、ここ10年は写真の「削紋(さくもん)」シリーズを中心に制作しています。置く場所により味わいが変わる、ゆらっとしたテイストに惹かれます。
〈青樹舎硝子工房〉
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「どの作品も美しく、地元にもファンが多い」と國島さん。貴島さんは、一般的に分担されることが多いガラスの成形と削る作業の両方を自ら行う、珍しい作家さん。現在は吹きガラス体験(1人15,000円〜)も受付中です。
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住宅街の一角にある工房は、緑に囲まれた素敵な一軒家。清々しい空気に癒されます。■住所:練馬区大泉学園町6-13-6 ■電話:080-3094-7910 ■営業時間:日により異なる ■定休日:不定休https://seijusha.com/
〈青樹舎硝子工房〉
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